
現場の感覚では説明できなかった膜厚のばらつきを、条件と照らして見られるようにしました。
従業員130名、建築金物や金属部品の粉体塗装を受託で行っています。塗装ブースは2ライン、使う粉体の色は約80色です。 塗膜厚には顧客ごとの規格があり、出荷前に抽取で測定しています。問題は、同じハンガーに掛けた製品でも膜厚に差が出ることです。規格外れによる再塗装は月に平均で約160枚発生していました。 原因の候補は多くあります。ガンの吐出量、吐出距離、ハンガーへの掛け方、コンベアの速度、ブース内の温度と湿度、粉体のロット。現場のベテランは「湿度が高い日は不安定になる」と言いますが、数値では示せません。 塗装条件は日報に手書きで残していましたが、測定結果は別のExcelです。両方を照らした分析はこれまで行われていませんでした。
塗装条件は日報に手書き、測定結果は別のExcelでした。まず日報をタブレット入力に変え、ハンガー番号で照合できる形にしました。
ブース内の温度と湿度は記録されていませんでした。各ラインに計測器を設置し、分間単位で記録するところから始めています。
湿度だけ、掛け間隔だけで見ても、膜厚との関係ははっきりしませんでした。両方を同時に見たときに、湿度が高く掛け間隔が狭い場合に集中していることが分かりました。
膜厚の分布を、日付・色・ハンガー位置で絞り込んで見られます。新しい色を使うときや、クレームが出たときに現場が自分で確かめています。
ハンガーへの掛け間隔を広げ、湿度の高い日はさらに広げる運用に変えた結果です。塗料と再塗装の工数を合わせて、月約90万円の削減になりました。
掛け間隔を広げると、1バッチで通せる枚数は減ります。ただし再塗装が減った分で相殺され、月の処理枚数はやや増えています。
以前は「湿度が高い日は不安定」という感覚だけでした。数値で示せるようになったため、新しい作業者への説明も楽になっています。
現場のタブレットで入力された塗装条件と、ブース内の温湿度、膜厚の測定結果を、ハンガー番号と時刻でひもづけます。単一の条件だけでなく、複数の条件を同時に見たときの膜厚への影響を評価し、規格外れが集中している条件の組み合わせを提示。日付・色・ハンガー位置で絞り込んで現場が確認できます。
5カ月
現状調査と条件記録の電子化4週、測定データとのひもづけ2週、分析6週、ダッシュボード実装4週、条件改訂後の確認5週
560万円
現状調査・基盤構築300万円+分析・ダッシュボード260万円(税抜、温湿度計の設置費を含む)