
ホワイトボードで毎朝90分かけていた計画づくりを、現場の判断基準ごと仕組みに移しました。
産業機械向けの精密切削加工を行う、従業員55名の会社です。マシニングセンタ12台で、月におよそ400件の加工ジョブを処理しています。同じ図面が繰り返し来ることは少なく、多品種少量が基本です。 生産計画は毎朝7時、工場長がホワイトボードの前に立つところから始まります。受注ジョブの札を機械ごとの列に並べ替え、納期と段取りを見ながら順序を決める。所要は約90分でした。 ただ、この計画は1日ももちません。既存顧客からの特急依頼が週に3〜4件入り、断れない相手が多いため割り込ませます。すると当日分は組み直しで、また30分。あるジョブが遅れると次のジョブがずれ、その影響がどこまで及ぶかもその場では分かりません。納期遅延率は12%でした。 そして、札を並べるときの判断基準がどこにも書かれていませんでした。機械の性能上は使えるのに、実際には扱える作業者が1名しかいない機械がある。大きなワークはクレーンの都合で午前中にしか流せない。ある治具は特定の測定器とセットで空いていないと使えない。工場長はこれらを踏まえて順序を決めていましたが、同じ計画を他の社員が作ることはできませんでした。
納期と機械の能力、治具の空き状況を条件にしたモデルを作りました。計算上は妥当な計画が出ます。ただ現場に見せると「この機械にこのジョブは流せない」という指摘が次々に出て、実行できませんでした。
工場長と班長、ベテラン作業者に集まってもらい、計画案を見ながら「ここは無理」を挙げてもらう形で2週間。結果として27件の条件が出てきました。守られているのに書かれていない条件は、先に聞こうとしても言葉になって出てきません。
段取り替えの時間だけを減らそうとすると、納期の近いジョブが後回しになる計画が出ます。納期を守ることを最優先にし、そのうえで似た治具や材質のジョブを近づける順番にしました。
営業が特急ジョブを入力すると、それを組み込んだ場合にどのジョブが何時間遅れるかを一覧で表示します。受注前に顧客と納期を相談するケースも出てきました。
工場長は出てきた計画を確認して手直しするだけになりました。特急が入っても自動で組み直されるため、そのたびに呼ばれる場面がなくなっています。
遅れの連鎖を早い段階で見つけて順序を変えられるようになったことと、影響を確認してから特急を受けるようになったことが理由です。
判断基準が27件の条件として外に出たため、工場長が1週間の出張に出た期間も生産は問題なく回りました。この一覧は新任の班長への引き継ぎ資料にもなっています。
受注ジョブを工程ごとに分け、機械・治具・作業者のシフトから割り当てられる時間帯を絞り込みます。そこへ27件の条件を当てはめて実行できない組み合わせを外したうえで、納期を最優先、段取り替えの削減を次点として順序を決めます。特急が入力された場合は、組み込んだ場合の遅れを即座に一覧表示します。
7カ月
要件定義4週、最初のモデル6週、現場からの条件の洗い出し2週、モデル作り直し5週、実装8週、並行運用4週
1480万円
要件定義と条件の洗い出し380万円+計算モデル550万円+システム実装550万円(税抜)。条件の追加は顧客側で対応できるため、追加開発費は原則かかりません